言語も、異なる業種の壁も、趣味のように学び超えていく
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●シェフの良き話し相手となり、3000種以上の食材から提案する
定番からイタリアの地方にしかないようなマニアックな食材を数多く取り扱う、神戸に本社をもつブォングスト社。多種多様な食材やワインをレストランへ提案しシェフやソムリエの手元まで届けるのが、鈴木さんの仕事。もともとコックだった経験を活かしシェフの求める食材を日々目利きする彼は、グランフロント大阪のシェフからも信頼が厚い。シェフに求められれば、取り扱いのない食材も世界各国から探しまわりひっぱってくることもあるという。食材がどのように料理されるのかを学ぶため、様々なシェフと一緒にレストラン巡りをすることは食べることが好きな鈴木さんにとって、趣味のような学びの時間。自分の提案した食材でおいしい一皿が完成した知らせをシェフから聞くことが何より嬉しいという。
●大好きなイタリアをはじめ、世界各国から愛される日本になるように
イタリアの虜になりイタリアへ渡り、イタリアのスローフードに触れ、イタリア人の奥様をもつ鈴木さん。初めてのイタリアは23歳から2年間の留学。学校まで自転車とバスを3回乗り換え辿り着くフィレンツェの郊外にホームステイ。ステイ先のおばあちゃんの畑仕事を手伝い、オリーブが収穫できれば近くの工場でオイルにしてもらい、ワインの時期には近くのワイナリーへ瓶を持って行きおすそわけをもらう。畑仕事の合間にくるみの木をつつき石でつぶして食べたことも。自給自足の日々は時間がゆっくり経つように感じられたという。自らが知るイタリア郷土の魅力とともにシェフへ食材を提案する鈴木さん。日本人シェフの技術の高さはどんな海外の人も唸らせるという。大好きなイタリアをはじめ、さらにグローバルに日本のレストランが愛されるようになればと話す彼は、今日も1,000件以上のシェフやソムリエのためにとっておきの食材を目利きしている。
●ブォングスト社 鈴木さんが目利きしたイタリア食材を、地域の特色とともに学ぶ
前菜にもメインにもスイーツにもあう変幻自在のチーズ
(ヴェネト州トレヴィーゾ カフォルム社 リコッタ)
8番目に大きな州であるヴェネトでは海に面した沿岸部は温暖で山岳地帯は北海道ほどの寒さを持ち多様な地形と性格の違う気候が豊富な産物を生み出す。寒い場所に位置するトレヴィーゾでとれたおいしいミルクで作ったフレッシュチーズであるリコッタは一流シェフをも唸らせる。
マンマの郷土料理にも欠かせないトマト缶
(エミリア=ロマーニャ州 パルマ セミドライトマトオイル漬け)
イタリア料理の定番トマトともいえるサンマルツァーノは、イタリア南部の特産物だが、実は北部にあるパルマが、イタリアで1番トマトの収穫量が多い場所。生食よりトマト缶、濃縮トマトチューブ等で食べることが多い。サンマルツァーノよりひとまわり小さい細長いトマトのセミドライは、加熱はもちろんそのままでもおいしいのが特徴。
誰をも魅了するパルマの生ハム
(エミリア=ロマーニャ州 パルマ プロシュート)
ボローニャと並ぶ食の都であるモデナがあるエミリア=ロマーニャ州は、ミネラルをたっぷり含んだ風の吹く広大な平野をもつ。そこで放牧された白豚を原料とするプロシュートを作るうえで重要な澄んだ空気と適度な湿り、良質な塩がとれる環境もそろっている。
金のなる土と呼ばれる良質な土から生まれた香りの王様
(ウンブリア州ノルチャ村 サマートリュフ)
世界三大珍味のひとつであるトリュフ。イタリアの有名な産地の中でもノルチャ村は唯一内陸に位置しポルチーニの産地としても有名。トリュフやキノコを育てる良質な菌がずっとその土地に住み着いているため、世界中で愛される世界最高峰のトリュフが収穫できる。白トリュフは香りづけにもってこいでどんな食材とも相性抜群。
イタリア人の食卓に並ぶ調味料ともいえる必需品
(アブルッツォ州キエーティ トンマーゾ・マシャントニオ オリーブ&オリーブオイル)
長い海岸線をもつ州だが、漁業よりも農業、牧畜業が盛んな場所。イタリアの中でも北にいくほどオリーブオイルは辛み苦みが少なくマイルドな傾向に。南部にあるプーリア州が最も生産量が多くリーズナブルなものが多いという。中部に位置するキエーティのものは、主張しすぎず料理を上品に引き立ててくれる。
先人の知恵がたっぷりつまった保存食の定番
(シチリア州ラグーザ セミドライチェリートマトオイル漬け)
北アフリカに近くイタリアの中で最も暑いシチリア。シーズンは、リゾート地としても愛される場所。乾燥していることが多いこのエリアで育つトマトは丸く小ぶりで味がつまったものが多い。塩、にんにく、ハーブとともに乾燥させオイル漬けにした保存食はこの地域に欠かせない必需品。