食材がつなぐ沖縄の文化と心。28の伝統的農産物とみる伝承のカタチ
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●島野菜の定義
1.戦前から食されている
2.郷土料理に利用されている
3.沖縄の気候・風土に適合している
●未来に受け継いでいきたい、28品目の「伝統的農産物」
伝統的に沖縄で作られ食されてきたさまざまな野菜を、沖縄の人々は親しみを込めて島野菜と呼ぶ。にがうりはゴーヤー、冬瓜はシブイ、紅芋はンム。沖縄ならではの方言、ウチナーグチの名前を覚えるのも愉しい。そのルーツについては、戦争で資料が失われ正確なことはわからないというが、琉球と呼ばれた時代より中国や東南アジア、朝鮮、ヤマトゥ(日本本土)と交易してきたことから、さまざまな国、地域から渡ってきたものも多いだろう。沖縄はそんな島野菜を文化や伝承されてきた利用法も含めて後世に伝えるために、上記の3条件にあった28品目を「伝統的農産物」に指定し、その普及や研究を行っている。かつて、琉球王朝として栄え、食文化も独自の発展をとげた沖縄。戦後、アメリカの影響で食生活は大きく変わったが、島野菜はかつての文化と心を今日に伝える、沖縄の人々にとって大切なものだ。
(※)徳元 佳代子 (著)・比嘉 淳子 (著),2016,『からだにやさしい おきなわ島やさい』より
●Interview
野菜ソムリエ上級プロ、沖縄食材スペシャリスト
徳元佳代子氏
1957年神奈川県出身。沖縄県糸満市の農家に嫁ぎ、野菜の生産の傍ら、「ベジフルマンマ」を設立。「農と食を楽しみ、健康的な社会に貢献する」ことを信念に、病気予防に役立つ野菜の食べ方を伝える講演会や料理教室を行うほか、レシピ開発も多数。2013年に「野菜ソムリエアワード」で金賞受賞、著書に『からだにやさしい おきなわ島やさい』など。