命のはじまり「豆」から見る、風土と生物の多様性
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わたしたちの身近にある“豆”のこと、実はあんまりよく知らないかも。
基本のキを知ると、もっと豆が食べたくなる、もっと豆が、愛おしくなるはず。
● 紀元前から!?文明とともに始まった作物
古代文明発祥の地・メソポタミア地域で、紀元前7,000~6,000年頃にエンドウ豆やレンズ豆が生産されたのが最古だという説がある。今では世界に18,000種ものマメ科の植物があり、そのうち食用は約70種程度。特に日本人に馴染み深い大豆は、弥生時代初頭に中国から日本にわたり、重要なたんぱく源だったとされている。小豆は東アジア、ささげはアフリカ、インゲンマメは南米が原産と言われている。豆は作物の始祖、人類が生き永らえるための命の源でもあったのだ。
●人から人へ、その土地でつながれてゆく在来種
在来種とは、ほかの作物と交配せず、その地方・地域だけで栽培された品種のこと。とれた作物から農家が種を採り、育てることを長い年月をかけて繰り返し、気候風土に合った作物として根付いていく。“地豆”とも呼ばれる在来種の豆は、滋味深く、力強い。普段食べている国産豆の多くは、F1種*。それぞれの役割がある作物の、個性を知って食べてつなげてゆこう。
*F1種(えふわんしゅ)
人工的に荒廃された一代限りの雑種。生育が早い、同じ大きさの作物ができるなどの特徴を持つ。近年ほとんどの作物がこのF1種で栽培されている。
●切らない、川も剥かない、寝ている間に準備完了
乾燥豆は洗って豆の3~4倍の水にひと晩浸けてから、茹でたり煮たり、蒸したり。急いでいるときやひね豆*は、熱湯に浸すと2,3時間ほどで戻る。小豆やレンズ豆は浸水せずとも調理可能。品種によって新豆の時期は異なり、日本では一般的に10~12月。新豆は皮が柔らかく煮えるのが早いため、煮崩れしやすいので、あえてひね豆を使うことも。水に戻したら、ほかの食材と調理するだけでメニューが完成する便利もの。色も形も種々雑多な豆を瓶に入れて並べて、見惚れる時間もいとおしい。
*ひね豆
収穫して1年以上たった豆。新豆よりも煮えるのに時間はかかるが、豆本来の風味をしっかり味わえる。