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人も地球もサステナブルに。豆と考える、持続可能な食のかたち

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人類最古の穀物のひとつともいわれる“豆”。日本でも古くから行事食や日常食として、あるいは豆腐や納豆、醤油に味噌などの発酵食品として加工もされ馴染み深い。しかし近年、生活スタイルや働き方の変化、中食・外食の増加などの影響で、豆の消費量はどんどん減ってきているといわれている。一方で豆は、環境汚染や貧困格差、生活習慣病の増加など、地球規模の課題における解決策につながるかもしれない食材として、世界から注目されている。日本スローフード協会(*)代表理事でもあり、千年続く有機農家の嫁として大豆も育てる渡邊めぐみさんに、豆のサスティナブルな可能性を聞いた。

*スローフード
おいしく健康的で(GOOD)、環境に負荷を与えず(CLEAN)、生産者が正当に評価される(FAIR)食文化を目指す世界的な社会運動。1989年にイタリアで始まり、現在160か国以上に広まる国際組織。スローフード協会日本は、スローフード国際本部から正式な承認を受けた国内運営機関として2016年3月に発足。

 

01多様な植物の種(しゅ)を育む

人類を含めた多くの生物は、長い歴史のなかで、さまざまな環境に適応しながら、進化してきた。豆は、その生態系の循環のなかでも重要な役割を果たしている。たとえば豆は、アフリカの砂浜地域など野菜が育たないような乾いた土壌でも、べちゃべちゃの湿気地帯でも育ち、それを食べる動物たちの命を育む。さらに、輪作に活用することで、他の農作物の収穫量を上げることもできる。豆がそこにいることで、新たな作物が生まれ、生き物は生かされる。小さな粒に、ものすごい存在感とつながる一筋の光を感じずにはいられない。

 

02土壌をつくる

豆は、作物を育てるのに必要な窒素を、土のなかに定着させてくれる。多くのマメ科の植物の根っこには、窒素を取り込む細菌がついているからだ。さらに、地球温暖化の要因のひとつ、二酸化炭素など温室効果ガスの増加にもストップをかけてくれる。土壌のなかの炭素を増やし、大気中の二酸化炭素を吸収するとされているのである。人類がもっとたくさんの豆を食べたら、地球の困りごとがいっぺんに解決できてしまうかもしれない。なんだか、わくわくしてくる。

 

03栽培エネルギーが少ない

干ばつ・乾燥地域でも育てやすい作物なので、ほかの動植物に比べて、生産するのに必要な水の量が少ない。厳密にいうと豆の種類にもよるが、放っておいても自ら養分を貯え、どんどん成長してしまう力強さたるや。そりゃ、ジャックも登れてしまうわけだ。

 

04栄養価が高い

豆は、あの小さな粒のなかに、食物繊維、鉄分、ミネラル、たんぱく質、そのほか豆の種類によってさまざまな栄養素を持ち合わせている。脂肪分が少ないので、肥満・糖尿病など体重コントロールが必要な場合のたんぱく源としても、解決となりうる食材のひとつだ。だからといって、豆ばかり食べていては偏る。何事もバランスが大事、ということ。

 

05フードロスも少ない

豆は収穫後、よく乾燥させてから食したり加工したりすることが多い。乾燥している豆は日持ちし、保存性も高い。常備食材としてストックしておけば、いざという時にいつでも利用できる。生鮮食品と違って厳密に“期限”を気にする必要もないので、フードロスも減るだろう。ちなみに、乾燥豆は、調理する前にひと晩浸水させることが多い。徐々に水分を含んで大きくなっていく様を見るにつれ、心の中で「大きくなってきた、大きくなってきた」と嬉々としてつぶやく。Fastが多勢を占める現代に、待つことの愉しさを教えてくれる作物でもあるのではないだろうか。

 

 

一般社団法人日本スローフード協会 代表理事 渡辺めぐみさん
早稲田大学在学中よりスローフードにかかわり、スローフード協会が設立したイタリアの食料学大学の修士号も取得。米・大豆などの栽培する千葉県の有機農家に嫁ぎ、築100年超の古民家に住まう。今後日本人の豆摂取量が増えていくためには、各食品メーカーなどの協力も必要だと考えている。一児の母。

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