山内かぶら
●江戸時代から栽培されている伝統野菜の山内かぶら
谷間の町で朝霧が立ち籠めるという若狭町山内集落。ここで栽培されている山内かぶらは噛むほどに辛みが感じられるが、火を通すとまろやかな甘みがある。何時間煮ても煮崩れしないほど凝縮された肉質で、法要などで出される御講汁(かぶらや人参などを煮込んだもの)などに使われている。
●百年以上、一度も切らすことなく先代から嫁へと種を受け継ぐ
昭和30年代には40軒ほどあった生産者も現在はたった12名だけ。この集落に嫁いできた奥さんたちの手で大切に育てられてきた。ひげ根が多く表面にえくぼがある形の良いかぶらだけを埋めなおし、種を採取することで昔ながらの原型を守っているのだ。
取材協力:福井県三方上中郡若狭町/山内かぶらちゃんの会/飛永悦子さん
[chef's voice]福井県で食材を吟味したプロの声01
イタリア料理 Tana La Terrazza 大嶋 進哉 氏
イタリアンも素材を大切にする料理なので、精進料理との共通点を見出せるのではないかと話してくれた大嶋シェフ。食材を生のまま食べて、味を確かめることにこだわっているという。甘みのあとにスッと辛みが抜けるのが印象的だった山内かぶらをはじめ、福井の食材や食文化を感じられる一皿を考案してくれた。