●シェフの教室「本場韓国の焼肉のいろはを学び味わう」をレポート!
焼肉の豆知識や美味しく食べるアイデアを本場の目線から教えてくれる、文字通り「本場韓国の焼肉のいろはを学び味わう」教室が、白雲台で開催された。関西屈指のコリアタウン・鶴橋に本店を持つこちらでは、A5ランクの仙台牛や、秘伝のタレで漬け込んだキムチ、手打ち冷麺、石焼ピビンパと、どのメニューにおいても、独自のこだわりが随所に。レクチャーを聞きながらの試食とともに、大満足の実食もあり、参加者からも絶えず笑みがこぼれる、目にも耳にも舌にも美味しい教室の様子をご紹介。

▲始まる前から、期待感が高まり熱気に包まれた店内。親子やご夫婦、ご家族での参加もあった

▲この道20年の金城店長から、はじまりの挨拶と本日の流れを聞く
参加者がグループに分かれてイベントがスタート。
①肉の部位の違いとそれぞれの味の違いを食べて学ぶコーナー
②韓国冷麺の作り方を学ぶコーナー
③自家製キムチの作り方とキムチの歴史を学ぶコーナー
上記3つの講義がはじまった。
●A5ランクの仙台牛、クラシタの食べ比べ
神戸牛や松阪牛など、日本全国にA4ランク以上のものを指す和牛はあるけれど、
仙台牛は肉質等級が最高レベルのA5ランクのみが、その名を名乗れるという。
日本全国の和牛のうち、0.049%しか生まれてこない、
まさに幻の超高級ブランド牛を目の前で捌き、部位ごとに食べ比べた。

▲当日はスタッフ自らが、牛に扮し、部位を目にも分かりやすく解説してくれた

1頭の仙台牛の中から4~5%しか取れないクラシタ。
肩ロースのあたり、馬に例えると、鞍をつける下の方にあたるためこう呼ばれる、
さらに細かく、芯・芯三角・カブリ・ハネシタ(別名ザブトン)と4つの部位に分けられるそう。
サシ、肉質共に上質な「ハネシタ」は、一般的には特上ロースと呼ばれる部位。
焼肉屋さんで赤身肉をオーダーするときの参考にしたい。「芯三角」も脂と肉のバランスがいい部位。
特選ロースの中でも、赤身の部分が少し多い「芯」は、肉の味わいが濃い。
クラシタにかぶるかのようについている「カブリ」は、他の部位よりも食感があり、
肉本来の味わいがしっかりしている。レクチャーと共に、試食が惜しみなく振る舞われた。

▲4つの部位を順に試食。こだわりの高知県産天日塩でいただく
口に入れた瞬間、参加者のテーブルからは「美味しい!」「柔らかーい!」という声と共に、歓声が上がる。
「肉は嘘をつかないんです。良いものは美味しいんです」と、金城店長。
実は、この日の仙台牛もひとかたまり数十万円という、極上品。
●コシが命!手打ち冷麺のデモンストレーション
焼肉と共に、白雲台がこだわり抜いているのが、他店では類を見ない、手打ちの平壌式冷麺だ。
現役の学生アメフト部スタッフを始め、屈指の専任スタッフが「冷麺隊」として、毎日、店内に常駐。
打ち立てを食べることができる。


日本のそば粉に、70~80度の湯を加え、20分間、ひたすら捏ね続ける。
社長を始め、店長やスタッフたちが自信を持って提供する自家製麺は、その打ち方に秘訣があった。
足で踏むという製法ではなく、体全身を使い、手の平の一点に体重を集中させて、伸ばしてはまとめるを繰り返すことで、独自のコシが引き出せる。
デモンストレーションを見た参加者たちは、麺を捏ねる専任スタッフのパワーに、驚きを隠せない様子。

特別に、一番コシのある茹でたての状態を試食。
参加者からは「今まで食べてきた冷麺とは、まったく違う食感がある!」との声が聞こえた。
●40年の経験に裏打ちされた、レシピのない自家製キムチ作り体験
キムチの歴史の話と共にレクチャーされた、実際に店で提供されているのと同様のキムチ作り体験。
韓国では、1300年前から作られていたキムチだが、豊臣秀吉が唐辛子を伝えるまでは、
辛味のない白い塩漬け白菜をキムチと呼んでいたという。


材料は、千切りにした生の大根と葱。
これに、粗唐辛子と粉唐辛子のブレンドしたものをよく混ぜ、おろしにんにく、砂糖の順に加えていく。
美味しいキムチ作りには、調味料を足していく順番がとても重要。
唐辛子を使う料理は、味覚ではなく、痛覚に訴える唐辛子の特性を生かし、先に入れるのがポイントだそう。
これにより、食べると旨味→甘み→辛味の順に、口の中に広がるというわけだ。

唐辛子と砂糖で水分が出たところに、イカの塩辛とアミ海老の塩辛を加える。
漬け方は、指先で揉むのではんく、味を押して馴染ませるイメージで、手の平を使うのがいい。
すりおろしたりんごと生姜を加え、1日半、塩漬けした白菜に馴染ませる。
薬念(※1)を別に作り、合わせるのではなく、1つのボウルの中で完成させていく。
(※1 薬念とは、韓国料理における薬味や調味料、香辛料を合わせたもの)


参加者が袋で漬けたものと、スタッフが漬けたものを食べ比べてみた。
乳酸発酵はさせていないが「深い味がする」「辛いけど、癖になる」「同じように作ったのに、自分のと味が違う」と、試食がどんどん進んでいく。
●実食も盛りだくさんな焼肉と韓国料理



実食タイムには、各テーブルごとにスタッフがつき、厚切りタンやロースなどを焼きながら、さらに焼肉レクチャーが盛り上がった。
オリジナルの甘みのあるもみだれで下味がつけられたロースを、酸味のある浸けだれで味わう。
「家では塩コショウをするだけか、下味をつけないという方も多いと思うのですが、もみだれを使うと、より肉の味が引き出され、美味しくなります」と、金城店長から、家庭ですぐに実践できる技も伝授。

さらに料理は続き、日本に石焼スタイルのピビンパが広く認知される以前から、白雲台ではメニューとしてあった石焼ピビンパや、韓国冷麺もふるまわれた。食事中も、参加者からは、終始、質問や疑問が飛び交い、テーマの通り、いろはを隅から隅まで、惜しみなく教えてくれた。

最後に、参加者がそれぞれ実習したキムチと白雲台のキムチ、もみだれとつけだれ、オリジナルバッグに、Tシャツなどお土産があった。
同時に、外食や家での焼肉でも、オーダー時や美味しく食べる知恵として、
すぐに活用できる「目利き力」も、一緒に持ち帰っていただけたのではないだろうか。