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但馬牛と香住ガニ、まちの誇りを生かした米づくり

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兵庫県北部、但馬地域にある香美町は、和牛&カニというツートップを特産に持つ。
これら地域資源を活用した米づくりにも注力。実績ある『但馬村岡米』(以下、村岡米)と、ブランド確立を目指す『かにのほほえみ』を取材した。

 

 

 

JAたじま村岡米生産組合のみなさん

 

 

●カタチこそ違え、いまも昔も但馬牛とともにある米づくり

 

古くから牛が飼育されていた但馬地方。耕作や運搬用の役牛(えきぎゅう)として、一般家庭でも但馬牛が飼われていた。村岡米を栽培する西田英喜さんは、「自分が中学生くらいまでは家に牛がおったよ」と、農作業の手伝いをしていた幼き頃を思い出す。人々の日常生活を支えてきた但馬牛は、いまや日本各地のブランド牛の素牛(もとうし)として、高い評価を受けている。村岡米は、その優れた資質をたい肥として利用し、おいしい米づくりに最適な寒暖差のある棚田でつくられている。

 

 

 

 

●地形の形を活かした棚田農家それぞれの個性がみえる

 

約1,500年前、日本海がまだ陸続きであった頃、地滑りによってできた板仕野区の棚田。周囲をきれいなカーブで描く棚田は、人の手と機械の両方で植えられる。JAたじま村岡米生産組合 副組合長の田中春雄さんは、「農家によって、一枚一枚個性が出る。細いところは、機械のほうが逆に難しいんや。ここの田んぼの人は器用やなぁ」と、と感心する。一枚一枚の棚田は、平面にある田んぼよりも小さいものの、地を活かしたきれいな曲線を描いているのが印象的だ。

 

 

 

●家を守り、地域とつながる そして、次へのバトンをわたすために

 

「昔はどの家にも牛がおったから、そのたい肥を使うことは普通やった」と西田さんは回顧する。その後、耕具は機械化され、牛を飼う家もいなくなり、肥料が別途必要となった。「そこで気づいたんよ。昔の米はおいしかったなぁ、と。いま、そのときの姿に戻しているだけなのかもしれんなぁ」。また、JAたじま村岡米生産組合 組合長の田中市郎さんは、農業を継承することについて、「自分たちにとって当たり前のことだった。親の背中を見て、田んぼを荒らしたらあかん、守っていかなあかん」と、その使命感を語る。家を守るという気持ちが、ひいては、地域を守るということにつながっているのだ。いまでは20人くらいの農家でこの村岡米を生産し、次の世代へつないでいこう、と団結した取り組みを続けている。そう、みんなの気持ちはただひとつ。「誰もが認める、おいしい米をつくりたい」。

 

 

 

—-地元の名産と米づくり—-

 

 

 

●香住ガニがお米に色づく 循環型農業で地元をより豊かに

 

捨てればゴミになるカニの殻を、肥料として活用する米づくり。それが、香住ガニで有名な日本海に面するまち、香住地区のコシヒカリ、『かにのほほえみ』だ。収穫後の玄米はほんのり薄ピンク色になるという。生産部会会長の山本勝昭さんは、「米のブランド化は一朝一夕にはできない。10年こつこつ取り組んできて、ようやくここまで来た。これからは、もっと多くの人に知ってもらって、地域との信用、信頼を深めていくことが重要。でも自分はあと何年できるかなぁ」、はははっと高らかに話した。

 

 

 

 

 

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Umekiki Paper vol.22