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花を育てる農家の暮らしぶりと花とのむきあい方

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A gastronomic approach to flower gardening
ー花を育てる農家の暮らしぶりと花とのむきあい方ー

日本において、エディブルフラワーを育てる農家はまだまだ少ない。今回は、高知でエディブルフラワーを育てる吉村夫妻を訪問。日照時間が長く、陽射しもジリジリと強い高知。くったくのない笑顔で迎えてくれた南国気質漂うふたりの花とのむきあい方を紹介しよう。

●勉強家の夫と自然を愛する妻が育てあげた花
人と違う面白いことをするのが好きと話すご主人の忠保さんが、花の栽培を始めたのは5年前。それまではピーマンやオクラなどをハウスで栽培する野菜農家だったそう。「気になったことはとことん調べるオタク気質があるんです」と微笑ましい表情で忠保さんを見ながら話す奥さんの奈々さん。自宅は本であふれかえっているという。忠保さんが栽培を始めた当時は需要が少なく3年半は売れなかった。そんな時、独学で野草酵素を勉強し、自然のものをうまく生活に取り入れたいと思っていた奈々さんがやってきて、一緒に働くことに。ふたりで試行錯誤しながら無農薬にこだわって栽培を続け、今では年間60種近くの花を育てるシェフの心強い存在に。エディブルフラワーがふたりをつなぎ夫婦となった。

●気まぐれな花と愚直にむきあう
だいたいは種植えから花をつけるまで2ヶ月〜半年だというが、旬でなくても咲くこともあるというから、エディブルフラワーの栽培は難しい。「ここにあるカーネーションは咲くまで1年かかったの」と話す奈々さん。育てている花が我が子のように可愛いという。花は咲いた後すぐに摘み取ってあげないと、つぎの花がでてこない。だからいつもつきっきりだそう。また、花は実をつけなれば、ずっと花を咲かせ続けるのだとか。つまり子孫を残すまでは一生現役として美しさを保ち続けるのだ。ハウスのなかには5年間咲き続けているベゴニアや3年間咲き続けているナデシコもあるという。仲睦まじい夫婦に見守られ大切に育てられた花は、今日もシェフの手によって美しい一皿へと生まれ変わっていることだろう。

●虫も大切な仕事仲間
標高400m近い山にある3棟のハウスで花を育てるふたり。暑いイメージのある高知だが、よしむら農園は標高の高さから、昼はとても暑いが、夜はぐっと気温が下がるため花が体を休める。そのためバランスよく育てることができるという。ハウスの中には蝶や蜂、蜘蛛などたくさんの生物があちこちに。虫によって花が受粉してしまうと実ができてしまい花の収穫量が少なくなってしまうのでは、と尋ねると「天敵農法といってね、蜘蛛さんは蝶さんを食べてくれるし、雑草についている虫は害虫を食べてくれるから、大事な従業員です」とおおらかな笑顔で話す。自然のままの生態系がハウスのなかに広がっているのだ。

●Interview-インタビュー-
高知県高知市  よしむら農園  吉村忠保さん・奈々さん