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島にんじん

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Shima Ninjin 島にんじん
沖縄県中頭郡中城村 仲松 弥英さん

●栄養豊富な冬の島野菜の代表格
「てぶく」という二股スコップを畑に直角に差し入れ、ぐいっと持ち上げると、すらりと長く黄色い島にんじんが姿をあらわした。沖縄の方言ではチデークニ、黄色い大根という意味だ。本島中部に位置する中城村の特産品で、この地域の農家は古くから自家採種を行い、代々その種と育て方を受け継いできた。島にんじんはカロテンや鉄分が多く、体力が落ちた時に食べると良いとされ、病人の滋養食として用いられてきた。特に薬膳料理・チムシンジには欠かせない食材である。皮の近くに栄養があるので皮をむかないか、包丁で薄くそぐとよい。

●島にんじんは箱入り娘。大事に、大事に育てられる
島にんじんの栽培は大変だ。発芽するまで、敷き藁や防風ネットをかけて保護してやる。過酷な日照りのなか、丁寧に間引きする。収穫時には、折れやすいので丁寧に1本1本抜いていく。また、日光に当てると青く変色してしまうので、すぐに布で遮光してやらなければならない。手間がかかり、収量も少ないので価格は西洋にんじんより高いが、「味もおいしく栄養も豊富なのだから、価値がある」と中城村の人々は胸を張る。リタイア後に農家になる人も多く、仲松弥英さんもその一人だ。120年以上、地域ぐるみでこの野菜を作ってきた中城村。村人たちの島にんじん愛は、この地にしっかりと根を張っている。 

島にんじん
1.収穫は10月下旬〜3月。ベストシーズンの11、12月は甘みがあってやわらかく、体を温める効果のあるカロテンが豊富。加熱しても変色しないので料理の彩りとしても。

沖縄県中頭郡中城村 仲松 弥英さん
2.シルクロードを渡って中国から伝わり、中城村では戦前から栽培がスタートした。 

きれいな花を咲かせる島にんじん
3.きれいな花を咲かせる島にんじん。ここから種を自家採種する。葉も栄養豊富。天ぷらにして食べるのがおすすめ。

料理長 土田 英次 氏
[chef’s voice] 沖縄で食材を吟味したプロの声
南館8階 和食 日本料理 大坂ばさら
料理長 土田 英次 氏

農家さんが職人のようなゴツゴツとした手でにんじんを1本1本丁寧に抜かれている姿が印象的でした。この地域独自の農具「てぶく」を使った収穫体験もできて、とても愉しかったです。愛情を込めて育てられた野菜ですから、大切に使いたいですね。島にんじんは生でもとっても甘いし、風味も繊細。西洋にんじんよりも和食に合うように思います。