土佐のあまみ屋の塩
●黒潮町で塩作りを拓いた先駆者の甘みがある天日塩
かつて塩専売法の下で製塩の試験研究と会員への配布許可を取得して、1982年に創業したという小島さんは、伊豆大島で塩作りの修業を経て故郷の高知へ戻った。「珊瑚やクジラ、イルカを育む、本当にきれいな海です」と穏やかに太平洋を見つめる姿には、黒潮町で製塩所を拓いた先駆者らしい風格が漂う。満潮時に汲み取った海水は、やぐらのように組み上げたネット式海水濃縮装置の上から散水し、太陽と風にさらして蒸発させながら約18%に濃縮できるまで循環し続ける。5棟ある結晶ハウスで濃度を約30%まで高めたら採塩袋に詰め、遠心分離機にかけることで塩とにがりに分離。ごみや異物を確認して袋詰めするという。「天日でミネラル分を塩に残す。すると甘みが出てくるんですよ」と高知の風土を活かした塩を語る小島さんの表情に、この塩のある食生活への安堵感を覚えた。
●INTERVIEW-インタビュー
土佐のあまみ屋 小島 正明さん(高知県幡多郡黒潮町佐賀)
グランフロント大阪にBAR & GELATERIA RAFFINATOを構える小阪シェフが愛用している『土佐の海の天日塩 あまみ』など、天日塩にこだわる製塩所。奥さんや息子さんも含め6人で営み、年間生産量は約11トン。「酒のつまみにすることもある」というほど甘みのある味わいで、おにぎりや鰹のたたきに付けると格別だという。肉や魚にも相性抜群。ほとんど手もみをせずに、一定の大きさで常に一番おいしい粒の大きさを作る技は圧巻。