多種多様な性格の数だけ、多種多様なトマトが生まれる
- RECOMMEND
あまり知られていないかもしれないが、高知はフルーツトマト発祥の地。そもそもフルーツトマトとは、品種名ではなく、水分を極力控えて栽培し、糖度8度以上を目安としたトマトの総称である。トマトの生産量こそ国内1位ではないが、40種類以上のブランドと圧倒的な種類の多さを誇る高知。なぜ、そこまで同品種で様々な味わいのフルーツトマトが生まれたのか?そこには、高知の風土と県民性が大きく関わっていた。フルーツトマトが誕生した高知を目利きする。
●フルーツトマト栽培に適した高知の風土
全国的にみても日照時間が長い高知は、トマト栽培においての適温環境が作りやすいため、園芸王国としてトマト栽培が盛んだった。そんな折、1970年に台風による水害が発生。海水が海沿いの高知市にある徳谷地区の畑に流れ込み、土壌に塩分が残ってしまった。農家は諦めたが、食べてみたら小粒ながらとても甘いトマトだったという。これがフルーツトマトの発祥だと言われている。徳谷のトマトが高く売れたことをきっかけに、みんながフルーツトマトに関心を持つことに。東西に長い高知の風土も手伝って、様々な種類のフルーツトマトが誕生した。
●個性派揃いの“いごっそう”な高知県民
土佐弁で「いごっそう」とは、高知男性の県民性を表した言葉。「快男児」「酒豪」「頑固で気骨のある男」などを意味する。「おらが村精神」(自分のところが一番)と自己主張が強く、一匹狼を好む傾向にあるそう。そのため、各々の栽培方法でフルーツトマトを栽培したことから、同品種で様々な味わいのフルーツトマトが発展を遂げた。育てる人によって全く味が異なるトマトは、生産者の性格を映し出しているよう。個性的な生産者が多いので、トマトもキャラクターが濃いものばかり。まるでワインのようにルーツがあり、それが味に表れると言ってもよいのかもしれない。
●Interview-インタビュー-
高知トマトサミット代表 (有)スタジオ・オカムラ 小林 正美さん
シニア野菜ソムリエとして飲食業や加工品の開発を手掛ける。トマトサミット開催により、農家同士が栽培方法を共有するようになって嬉しいと語ってくれた。狭い面積で農業王国を築いたオランダのように高知を発展させることを目指す。
▲トマトサミット代表 (有)スタジオ・オカムラ小林 正美さん