島らっきょう
Shima Rakkyou 島らっきょう
沖縄県糸満市 徳嶺 義武さん
●陽気なウチナーンチュの元気の素
「毎晩スナックに行っても朝元気に目が覚めるのは島らっきょうのおかげ。血液がサラサラだからね」と笑うのは、農作物の生産が盛んな糸満市で、島らっきょうを手掛けて10年の徳嶺義武さん。沖縄で古くから作られている在来種の島らっきょうは、一般的ならっきょうに比べるとスリムで香りが強いのが特徴だ。体を整える成分が豊富で、食欲増進や疲労回復に効果があるほか、血行を良くして体を温め、免疫力を高めてくれるという。加熱すると酵素が失効するので、生で食べるのが効果的であり、沖縄では塩漬けや浅漬けでよく食べられている。
●ひと株、ひと株に愛情を込めて「土寄せ」
島らっきょうを育てる上で、大切なのは「土寄せ」だという。土に埋まっている部分が白く食用となるため、その部分をできるだけ長くするために、1株1株の根元に人の手で土を盛るのだ。想像するだけで大変な作業である。また、島らっきょうは土を酸性にするため連作が難しく、さらに海が近いため台風の後は塩害が起きやすい。収量が少ない年は10kg8万円もの高値がついたこともあるという。「マルチ(ビニール)を張って覆ってしまう農家もいるけど、俺は覆わない方が根が太るような気がするんだよ」と徳嶺さん。過酷な環境だからこそ、野菜は強く逞しくなる。しかし、厳しすぎると実らない。その頃合いを見計らうのが、農家の腕の見せ所だ。
1.2.この地域は『島尻マージ』と呼ばれる琉球石灰岩が母材の土壌が主体。水はけがよく根茎作物に適している。徳嶺さんはそこに『ジャーガル』という粘土質の土をブレンドして島らっきょうを栽培している。 徳嶺さんのお宅では、島らっきょうを塩漬けにして関東に住む姉妹にも送っているそう。
3.球根部分がふっくらとして白い部分が15㎝ほどのものが良い。
[chef’s voice] 沖縄で食材を吟味したプロの声
南館7階 スペインバル Bar Espaňol LA BODEGA
シェフ 森脇 惇也 氏
畑で試食させてもらった塩漬けの島らっきょう、ピリリと風味が強くてとてもおいしかったです。梅肉につける食べ方も新鮮でした。島らっきょうをスペイン料理にするなら、アヒージョなんか合いそうです。ただ、食感と独特の辛みが生かされるよう、火を入れすぎないように調理したほうがよさそうです。島野菜はそのままで十分おいしいですから、あえてあまり手を加えたくないですね。