生産性が低くても、国産を守り続ける覚悟
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山々に囲まれ、おいしい農作物でも知られる広島県世羅郡に楡の木ファームはある。恵まれた環境の中、EMやカキの殻といった餌にもこだわりながら、鶏たちは飼育されている。養鶏に携わり約40年が経つという吉宗会長をはじめ、純国産鶏“もみじ”を守り受け継ぐ、楡の木ファームの人々の話を伺った。
●生産性だけでなく、飼育環境や純国産鶏を追求する
大自然の中、風が通り、光が降り注ぐ開放高床鶏舎で鶏たちは飼育されている。寒暖の差に気を配り、温度と空調管理に手間を要するというが、「鶏たちに居心地の良い環境で過ごしてもらいたい」と吉宗会長はいう。また、日本内に約4%しかいない純国産鶏の中で、もみじという鶏種にこだわる。「外国鶏よりも多くの餌を食べ、卵を産む量も少ないが、生産性ばかりを追い求めるのではなく、純国産鶏のおいしさを伝えていきたい」と信永社長も話してくれた。
●鶏に感謝しながら向き合う飼育員たちの存在
楡の木ファームには、70代のベテランから20代まで幅広い飼育員がいる。水の量、温度、空調管理のほか、鶏の体重や卵の重さを点検している。「動物が好きでこの仕事を選びました」という20代女子の岡尾さんが言うように、鶏たちに感謝しながら日々の仕事に向き合う。また、発酵鶏糞の堆肥づくりに力を注ぎ、地元の米農家と連携したり、割れてしまった卵でスイーツを開発したりと、余すことなく活かせる方法を模索しているそう。
●interview
世羅の里山 楡の木ファーム(有限会社ゆう食品)
代表取締役会長 吉宗 八栄美さん、
代表取締役社長 信永 裕二さん
広島県世羅郡世羅町別迫