●「シェフの教室 -とみつ金時のフランを作り、タルトを学び味わう-」をレポート!

▲有野シェフのデモンストレーション。熱心にメモを取りながら聞き入る参加者の皆さん
連日行列ができる人気店、グランフロント大阪 南館2階ケーキ・カフェQu'il fait bon(以下、キルフェボン)がUmekikiシェフの教室に初登場! 「食の宝庫、福井で育まれた“もてなし”と“しつらえ”を目利きする」がテーマの今号Umekiki paper vol.17p7にて紹介した株式会社フィールドワークスの“とみつ金時”を使った、フランの作り方を学び、味わう教室が開催された。


教えてくれたのは、パティシエ歴30年になるキルフェボンの有野シェフ。人気店直伝のレシピを学べるとあって、多数の応募者が殺到。その中でも、抽選の結果選ばれた約30名が参加してくれた。
株式会社フィールドワークスの吉村さんもこの日のために福井から駆けつけ、とみつ金時の美味しさの秘密を伝授。そして、有野シェフによるデモンストレーションのあとは、実際に参加者もフランタルト作りを体験。その後は、店舗のカフェスペースに移動し、グランフロント大阪店限定で商品化された、『とみつ金時のタルト』を試食した。盛りだくさんのイベントのハイライトをレポート!
【シェフの紹介】
有野孝シェフ
有名ホテルにてペストリー&ベーカリーシェフを歴任。米ヒルトングアムにてペストリープロモーションをプロデュース、高品質で知られるスイスの「スイスミルク」を使ったクーベルチュールで世界のショコラティエたちから愛されるスイス・シュヴィーツ フェルクリン社においてディプローム取得。海外で技術講習会講師を務めるなど海外経験も豊富で2006年にはFHAシンガポールInternational Culinary-Challenge部門において金メダル受賞。のちに商社にて洋菓子開発研究センター シニアテクニカルマネージャーを担当。2014年ラッシュ株式会社入社、キルフェボンの商品開発の責任者を務める。
【生産者さんの紹介】
株式会社フィールドワークス
日本海に面した厳しい環境の福井県あわら市で、さつまいも“とみつ金時”をメインにかぼちゃなどを栽培。とみつ金時は一流シェフやパティシエも認めるおいしさで、しっとりほくほくした味わいが特徴。とみつ糖蜜芋はとろける甘さで焼き芋にすると天然のスイートポテトのような味わい。とみつ金時紫芋は上品な甘さでプリンなどのデザート作りに最適。通販で取り寄せ可能。
●福井県あわら市富津地区産 “とみつ金時“ のタルト

今回、福井県あわら市富津地区産“とみつ金時”とキルフェボンの出逢いにより、グランフロント大阪店限定『とみつ金時のタルト』(2017/11/17〜12/19発売)が誕生した。それにともない料理教室では、家庭でも簡単に作れる『とみつ金時のハニーフラン タルト』を実践することに。
「キュアリング貯蔵という特殊な製法で甘みを引き出しています」と生産者の吉村さんがいうように、とみつ金時は驚くほど甘みが強い。そのこだわりを聞いた有野シェフは、「とみつ金時の甘みや風味を生かすために、バニラを使わずラム酒を聞かせたシンプルなフランタルトにしようと思いました」と、今回のレシピを考案してくれた。

【レシピ】
下準備:上部直径16.5㎝ x 底直径 15㎝ x 2.5Hのパイタルト1台分
*焼成済みの練り込みタルト生地とハニーフラン生地を準備する (配合・作り方は下記参照)
《練りこみタルト生地》
薄力粉…60g
強力粉(なければ薄力粉)…15g
食塩未使用バター(有塩の場合は配合から塩を除く)…48g
砂糖…3g
塩…1g
牛乳…10g
1.ダイス状にカットして十分に冷やしたバターに薄力粉、強力粉、粉糖をすり混ぜる
2.あらかじめ牛乳に塩を混ぜたものを一気に加え全体が馴染むまで混ぜ合わせる
3.ラップでくるみ冷蔵庫で3時間程度休ませてから使用する
4.麺棒で2~3mm厚に伸ばしてタルト型に敷く
5.クッキングシートを被せ、重石(金属、セラミック、豆など)を乗せ焼成する(オーブン目安170℃)
《ハニーフラン生地》
生クリーム35~38%…120g
卵黄…45g(約2個分)
砂糖…24g
はちみつ…35g
ラム酒…適量
1.卵黄に砂糖とはちみつを加え、泡が立たないよう十分に撹拌する
2.生クリームを加え、適量のラム酒(なければウイスキー、ブランデーでもOK)で味を整えてから漉す
*とみつ金時は、Mサイズ300g程度のものを火入れして皮を剥いておく
*オーブンは予め160℃の余熱設定で温めておく
●仕込み
1.とみつ金時は、3㎝程度の乱切りまたは1㎝のスライスにする
2.とみつ金時を150~200gを目安に、焼成済みのタルト生地の上にならべる
3.ハニーフラン生地を200g~220gを目安に流し込む
●焼成・仕上げ
1.予め160℃に余熱設定されたオーブンに入れ焼成する。目安は乱切りで25~30分 スライスで30~35分
2.焼き上がりにお好みで砂糖を振りかけて、軽くバーナーで焦げ目をつける
3.応用として ⇒ アプリコットを塗って仕上げることで味にメリハリができる

有野シェフのmekiki point!!
・タルト生地
キルフェボンのタルト生地がサクサクの理由は、サブラージュという製法を使っているから。コツは、水分以外の材料をすべて混ぜて粉状にすること。バターは冷凍庫でキンキンに冷やし、薄力粉、強力粉、粉糖に入れてすり混ぜる。その後、フードプロセッサーにかけて均一にする(フードプロセッサーがない場合は、手で揉む)。日本のバターは水分が多いので、冷凍庫で冷やすのがポイントだそう。
焼成する時は、一度焼き上げた生地に、卵黄を刷毛で塗ってからもう一度2〜5分焼くとハニーフラン生地を流し込んだ時に、漏れない。
・フラン生地
卵黄に砂糖とはちみつを加え、泡が立たないよう十分に撹拌する時は、手早くするのがポイント。放置してしまうと、たんぱく質の固まりが残ってしまう。はちみつではなく、メイプルシロップで代用してもOK。
次に加える生クリームは、常温が好ましい。砂糖が溶けやすくなり、仕上がり時間も少し短縮できる。
また有野シェフ流だが、お酒を使う時は、材料の総量の3%と決めているのだとか。そうすると、お酒が主張しすぎずちょうど良いという。
・とみつ金時
紙に包んで、30分程度オーブンで焼くと、ちょうど良い固さに火入れができる。繊維があり食感も良いので、皮付きがおいしい。半分栗を使っても合う。程良い酸味を感じたいなら、オレンジを加えると相性抜群!
・仕上げ
仕上げは、粉糖をふりかけバーナーで表面を焦がすと、クレームブリュレのような味わいに。火にかけた熱々のアプリコットジャムを塗ってもおいしい。
●シェフやスタッフに教えてもらいながら実践!

▲キルフェボンの根木店長も参加者のテーブルをまわり、アドバイス
各テーブルに分かれて、いよいよ実践。焼き上がったとみつ金時を参加者が思い思いの大きさや形にカットし、タルト生地の上に並べ、フラン生地を流し込む行程を体験。シェフやスタッフがテーブルをまわり、コツを伝授したり、デモンストレーションに関する疑問点などに応えていた。



▲輪切り、ダイス型、輪切りとダイス型のミックスなど、それぞれ個性的な盛り付けが見られた
●お楽しみの実食タイム

▲クリスマスムードが漂う夜の店内で至福のひと時

▲とみつ金時が美しく並ぶ、グランフロント大阪店限定の『とみつ金時のタルト』
ハニーフランタルトが焼きあがるまでの時間は、店舗に移動して限定商品の『とみつ金時のタルト』を試食。キルフェボンオリジナルブレンドの紅茶とともに、優雅なカフェタイムとなった。参加者の皆さんはひとり参加の方も多く、初対面同士がテーブルを囲んでいたが、そうとは思えないほど会話が弾んでいた。
有野シェフや根木店長、スタッフの皆さんがそれぞれのテーブルをまわり、キルフェボンのこだわりを伝えてくれる言葉にも、参加者の皆さんは熱心に耳を傾けていた。




▲吉村さん(写真中央の女性)は、食育インストラクターと栄養士の資格を持ち、子供向けのイベントも行っている
吉村さんが特別に持参してくれたとみつ金時をお土産にプレゼントしてもらえることとなり、参加者からは歓声が上がっていた。最後に、料理教室で作ったフランタルトをそれぞれ受け取り、終了となった。

▲キルフェボンのスタッフは、商品を熟知した精鋭ぞろい。迷ったら、スタッフ個人のおすすめを聞いてみるのもいいかも

今回の教室は、キルフェボンならではのこだわりを直接聞ける大変貴重な機会となった。また、生産者の吉村さんも駆けつけ、材料であるとみつ金時のこだわりを伝えてくれたので、より一層おいしさへの理解が深まったように感じた。
料理の作り手と材料の作り手の思いが一度に聞けるUmekikiならではの教室。一味違った、学びが多い時間となった。