●「シェフの教室-卵の前菜・パスタ・ドルチェを学び味わう-」をレポート!


身近な食材である卵を学びそれを活かす料理教室が、グランフロント大阪 南館7階 イタリア料理 Donnagolosiで行われた。泡立つ、熱で固まる、乳化する、などの卵の性質を活かした卵料理の作り方を濱部シェフがレクチャー。デモンストレーションのあとは、実際に参加者も体験し、最後にはシェフ特製の卵を使った前菜、パスタ、ドルチェが味わえる贅沢な教室に。今回、卵を目利きのテーマとして発刊したUmekiki Paper vol.15にて取材させていただいたキユーピー株式会社も同席いただき、卵のことを深く知ることができる時間となった。
●卵の特性を知る

まずは、濱部シェフが卵の特性について説明しながら、中央のテーブルでデモンストレーションをしてくれた。
卵の代表的な3つの特性
・1つ目は、「乳化」。マヨネーズに代表されるように、卵の乳化力によってあらゆるものを均一に混ぜることができるという。そして、ソフトな食感、あっさりとしたコクなど、料理をおいしくしてくれるのだとか。アイスクリーム、カスタードクリーム、カステラなどのスポンジケーキ、天ぷらやトンカツなどの溶き卵がこの性質を利用している。
・2つ目は、「起泡性」。メレンゲに代表されるように、卵白は撹拌すると泡立つ特徴をもつ。スフレ生地、マカロン、ベニエ(メレンゲ入りの天ぷら粉)がこの性質を利用した料理だそう。また、卵黄にも起泡性はあり、湯煎で温めながら泡立てると、もったりと泡立つ。オランデーソースやザバイオーネに使われる。
・3つ目は、「凝固性」。卵が熱により固まる性質がある。一般的にどんな食材のタンパク質も加熱によって固まるが、卵は肉や魚と異なり液状のタンパク質というのが珍しいのだそう。卵黄と卵白は、凝固温度が違う。卵白は62度で固まり始め、70度で白濁し、80度で固まる。卵黄は65度で固まり始め、70度で形を保ち、75度で固まる。代表的な料理に、ゆで卵、卵焼き、目玉焼き、オムレツ、スクランブルエッグなどがある。
●特性を活かした卵料理

カルボナーラ
<材料(1人分)>
・卵(Mサイズ)・・・1個
・キタッラ・・・100g
・グアンチャーレ・・・15g
・パルミジャーノ レッジャーノ・・・5g
・ペコリーノ ロマーノ・・・5g +仕上げ分適量
・黒胡椒・・・適量
・エキストラバージンオイル・・・5g +仕上げ分適量
・ブロード・・・45g(コンソメで代用可)
1品めは、乳化と熱凝固性を活かした、カルボナーラ。「卵は冷凍してから攪拌すると、サラサラになりやすい」と濱部シェフ。また、フライパンにかけると固まりすぎてしまうので、ボウルを湯煎しながら卵を乳化させ、パスタを混ぜ合わせると安定するのだそう。今回パスタには、イタリアでギターの弦という名を持つ、四角い麺のキタッラを使用した。「ショートパスタよりもロングパスタでカルボナーラを作ることが難しいため、ロングパスタでカルボナーラをだす店はおいしい店と言われているんです」と濱部シェフは教えてくれた。
ザバイオーネ
<材料(1人分)>
・卵黄・・・1個
・全卵・・・1個
・グラニュー糖・・・25g
・マルサラ酒・・・30g(ポート酒やアプリコット酒でも代用可)
2品めは、起泡性を活かしたザバイオーネ。卵黄、全卵、グラニュー糖を入れ、1/3ずつマルサラ酒を加えながら、60度で湯煎し攪拌していく。「泡のたて方によって、ふわふわ感が違ってきます。頑張れば、ふわふわになりますよ」と濱部シェフ。フルーツなどを合わせてもおいしいデザートになるそう。

サヴォイアルディ
<材料(1人分)>
・卵黄・・・2個
・グラニュー糖・・・50g
・卵白・・・2個
・グラニュー糖・・・50g
・バイオレット(薄力)・・・60g
3品めは、起泡性と熱凝固性を活かした、サヴォイアルディ。卵黄と卵白をそれぞれ湯煎しながら泡立てていく。「大変なので、ご家庭ではハンドミキサーを使われても大丈夫です」と濱部シェフ。ふわふわに仕上がった卵黄と卵白の気泡が潰れないように、さっくりと混ぜ合わせていくのがコツだそう。あとは、180度のオーブンで7〜8分焼き上げれば出来上がり。
●シェフやスタッフに教えてもらいながら実践!
3班に分かれて、3品の料理の少しずつを実践。カルボナーラは、程よい粘着性がポイント。サヴォイアルディは、奥から手前に一定のリズムで泡立てるイメージで。ザバイオーネの絞り作業はコツさえつかめば、いろんな形を楽しめる、などそれぞれにポイントを聞きながら、参加者の皆さんは熱心に実践していた。




●お楽しみの実食タイム

まず運ばれてきたのは、シェフが特別に作ってくれた「豚のソプレターサとアスパラのコトレッタ」。さっくりとした衣と豚、アスパラの相性が抜群だった。

次は、実践したカルボナーラ。モチモチのパスタに濃厚なソースがよく絡み、さすがプロの味という印象。

最後に、フルーツと合わせたザバイオーネと付け合わせのサヴォイアルディ。ザバイオーネは、お酒がしっかりと香る大人のドルチェ。サヴォイアルディは、家庭のおやつの定番にしたくなるようなおいしさだった。

料理を食べながらのシェフへの質問コーナーでは、参加者から多くの質問や感想が寄せられた。
最後に濱部シェフからドンナゴロージの10%割引チケットを各参加者にプレゼント。デモンストレーション、実践、実食、お土産と盛りだくさんの内容だった。
今回の教室では、卵の特性を理解しながら、料理に活かしていくという、料理を科学するような内容で、参加者の皆さんも興味津々だった。メイン、前菜、デザートなどいろいろなことに使える卵は、まさに万能食材と言っても過言ではない。いつもと一味違った、目利き力の観点を教えてもらえる時間となった。