●Umekikiシェフの教室-生地から作り味わう3種類のパスタ作り-をmekiki!
「大阪人同様、地元愛の強いイタリアを目利きする」と題し、5月からグランフロント大阪内の各店舗でイタリア各州の郷土食や食文化の違いを目利きすることをテーマに、様々なイベントを開催してきたUmekikiとして、本テーマに関する最後のイベントとなった本イベント。最後を締めくくるのにふさわしい、イタリア各州の違いを学び味わう贅沢な料理教室となった。開催してくれたのは、素材を活かしたイタリア料理を提供するドンナゴロージの濱部シェフ。イタリアンの代名詞ともいえるパスタを、州ごとに学ぶ料理教室。

▲23名の参加者が濱部シェフを囲み、イベントスタート!
今回、作るパスタは、イタリア北部・中部・南部の3種類。
まず北部はリグーリア州ジェノバで食べられている「トロフィエ」。中部はトスカーナ州シエナの「ピチ」。そして南部はプーリア州全域で愛されている「オレキエッテ」。地域ごとにそんなに異なるパスタがあることに驚きをみせる参加者も。今回は全て同じ生地からパスタを作ることとなった。
まずは生地作り。濱部シェフが用意したイタリアの粉は、全て手挽きされたオーガニックのもの。イタリアでは粉を番号で呼ぶという。精製度の高い順(外皮の含有量が低い)に番号がふられており、“00”が一番精製度が高いもの。今回使用するのは、この”00”のもので日本でいう中力粉にあたるそう。そして、もうひとつはセモリナ粉。小麦の胚乳の粗い粒の事で、製粉工程で小麦を軽く粉砕することによって胚乳を細かくせず、ざらめ状で採り出したもの。これがパスタに欠かせないものだ。

〈パスタ生地の材料〉
・ファリーナ”00” ・・・・・・・・180g
・セモリナ粉(デュラム粉)・・・・60g
・塩・・・・・・・・・・・・・・1g
・EXVオイル・・・・・・・・・・10g
・水・・・・・・・・・・・・・・100g前後
生地を作る際は、その日の気温や湿度によって水や塩の量を調整するという。
イベント当日は湿度が少し高かったため、水を95gに調整して生地作りがスタート!
材料を混ぜあわせ、濱部シェフがこねた生地を参加者みんなでさわり、感覚をつかむ。ねり具合でパスタのコシがかわるというが、イタリア料理には「こうしなければいけない」というルールはないと話してくれたシェフ。その日の気分や採れた食材によってもレシピは変わる。自分の好みを把握して調理することが大切なのかもしれない。

▲生地の固さを肌で感じる。写真左はドンナゴロージで働く、Umekikiフリーペーパーvol.8の表紙を飾ったピエモンテ州出身のスタッフも

生地の作り方をデモンストレーションした後、常温で1時間くらいビニール袋にいれて水分が飛ばないようにして寝かせておいた生地を切り分けてパスタ作りが始まった。濱部シェフより、各州のパスタのルーツとともに、作り方を紹介された。
〈各州のパスタの紹介〉
●リグーリア州(ジェノバ)・・・・・・・・・ 「トロフィエ」
3〜4cmの長さのねじれたひも状のショートパスタ。木くず、かんなくず、TRUCIOLO(トルキオーロ)が語源となっている。ニョッキが昔、ジャガイモではなく小麦粉と水で作られ、手で形作られていた名残がトロフィエだと言われていると教えてくれた。
●トスカーナ州(シエナ)・・・・・・・・・・・「ピチ」
手打ちの太いスパゲッティ。うどん状の20〜25cmくらいのもの。くっつく、ピチを伸ばす動作であるAPPICIARE(アッピチャーレ)が語源となっている。もともとは軟質小麦”0” 、水、塩という最低限の材料で作る農家の質素なパスタで、現在では卵を加えてリッチにすることも多いという。
●プーリア州(全域)・・・・・・・・・・・・・「オレキエッテ」
小さな耳という意味。コシがあり食べごたえたっぷりのパスタで、指やテーブルナイフなど丸くつぶしながら成形する。伝統的なレシピでは、セモリナ粉(硬質小麦)、水、塩のみで作られるという。
参加者が一番苦戦していたのは、トロフィエかもしれない。濱部シェフがくりんと指をねじると生まれてくるトロフィエのパスタは一見簡単そうに見えるが、挑戦してみるとなかなか綺麗に作れない。熟練した技をみるとができた。

▲驚くほどきれいに作られるトロフィエ。一見簡単そうにみえるがなかなか難しい。

▲参加者のために用意された沢山のトロフィエ
そして、ピチ。両手でのばしていく、うどんのようなパスタだ。
最後は、オレキエッテ。
耳たぶのような形のパスタは、指の丸みを使ってうまく伸ばす。



▲丁寧にパスタ作りを伝授する濱部シェフ
▲楽しそうにパスタを作る様子。イタリアでも同じような風景が繰り広げられているのだろう
パスタが完成したら、それぞれのパスタにあうソース作りの時間に!
トロフィエにあわせるソースは、ジェノベーゼ。バジルがたっぷりとれる地域ならではのソースだ。
〈ジェノベーゼの材料〉
・バジル・・・・・・・150g
・マツノミ・・・・・・60g
・ニンニク・・・・・・5g
・塩・・・・・・・・・3g
・オリーブオイル・・・100g
上記をミキサーにかけて濃厚なジェノベーゼソースを作ってくれた。
そして、次は、ピチにあわせる アリオーネ。 南マレンマ風トマトソースだ。
〈アリオーネの材料〉
・ニンニク(皮付)・・・・5片
・トマト・・・・・・・・400g
・オリーブオイル・・・・適量
・イタリアンパセリ・・・3枝(軸付き)
・唐辛子・・・・・・・・2ケ
アリオーネとはニンニンの品種の名前。この地域でとれるニンニクの名前がそのままソースの名前になったのだという。
今回使ったトマトは、Umekikiフリーペーパーvol.8でも紹介した3,000以上のイタリア食材を扱う卸問屋のブォングスト社から仕入れたガッペリーニという品種のトマト。ナツメヤシの形をしているトマトは味が濃厚。ニンニクで香りづけしたオイルとともに材料を鍋にかけて煮込んだら完成。

最後はオレキエッテにあわせるプリエーゼというソース。
〈プリエーゼの材料〉
・スライスニンニク・・1/2片
・ブロッコリー・・・・40g
・鷹の爪・・・・・・・適量
・アンチョビ・・・・・適量
・イタリアンパセリ・・ 適量
このソースに欠かせないのが、貧乏人のパルミジャーノという意味をもつ、モリーカ ディ パーネ。パルミジャーノチーズが高価なので代用品としてパスタとともに愉しんだ庶民の知恵だ。
〈モリーカ ディ パーネの材料〉
・パン粉(ミルで細かく)・・100g
・アンチョビペースト・・・5g
・ニンニクオイル・・・・・5g
・オリーブオイル・・・・・10g

▲モリーカ ディ パーネを作る濱部シェフ。他の料理にもあわせれるので是非挑戦してみて欲しい
そして、お楽しみ! 出来上がったパスタを実食する時間へ。
実食には、今回作ったパスタが食べられている3州のパンと、オリーブオイルも用意され、地域ごとの様々な食を食べ比べることができた。味の違いを愉しむ参加者の様子はなんとも楽しそう。Umekikiらしい学ぶたっぷりの時間となった。

▲パスタが地域ごとに異なるようにパンも異なる。トスカーナのパンは塩が入っていないパーネトスカーノ

▲気候や湿度によって地域ごとにオリーブオイルの味が驚くほど異なる

▲オリーブオイルを食べ比べて味の違いを確かめる参加者

▲Umekikiフリーペーパーvol.8で紹介したテヌータカンピフレグレイ農園のシルビオさんのお野菜も登場

▲トロフィエにあわせたジェノベーゼ

▲オレキエッテにあわせたプリエーゼとモリーカ ディ パーネ
▲ピチにあわせたアリオーネ